標本日記

都内のメーカーでインハウスデザイナーとして働く26歳が個人的な定点観測のために開設したブログ。ニュースや流行を単に切り取ってコメントするのではなく、自分なりに文脈を見つけていくことが目標。

4月に気になったトレンドニュース

・Remote-controlled flying cyborg beetles could replace drones

http://www.dezeen.com/2016/03/30/remote-controlled-flying-cyborg-beetles-alternative-drones-nanyang-technological-university-singapore-california-berkley/?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+dezeen+%28Dezeenfeed%29

GoogleGmailのエイプリルフールがしゃれにならず、取り下げて謝罪

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/02/news019.html

・399ドルのiPhoneSE、原価はたった160ドル 過去3世代の「いいとこ取り」でコスト圧縮

http://toyokeizai.net/articles/-/112425

セレクトショップはどこへ向かっているのか?

http://www.fashionsnap.com/the-posts/2016-04-06/selectshop/

・Alphabet(旧Google)の秘蔵っ子、日本のSchaftが新しい二足ロボットをデモ

http://jp.techcrunch.com/2016/04/09/20160408alphabets-secretive-schaft-inc-shows-off-new-bipedal-robot-in-tokyo/

・SGHDと日立物流が資本業務提携を締結

http://www.fashionsnap.com/the-posts/2016-04-09/sghd-hitachi/

マツダが4月に組織改革へ!新車開発はどう変わる?

http://clicccar.com/2016/04/05/363715/

機械学習したAIがレンブラントの"新作"を出力。絵具の隆起も3D再現した「The Next Rembrandt」公開

http://japanese.engadget.com/2016/04/07/ai-3d-the-next-rembrandt/

認知症見守りに小型端末、靴・杖に装着 ALSOKについての医師の反応

https://ishicome.medpeer.jp/entry/89

キンコン西野、新エンブレム提案「僕ならこうする」→「天才」だと話題に【東京オリンピック

http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/09/tokyo2020-emblem-nishino_n_9648918.html

・Incase 2016-17 Autumn Winter

http://www.fashionsnap.com/collection/incase/2016-17aw/

ユニクロ新サービス「UT Picks」にみる、"信頼できる人が選ぶ"という価値

http://www.fashionsnap.com/the-posts/2016-04-23/ut-picks/

・日独IoT/インダストリー4.0協力に係る共同声明への署名を行いました。

http://www.meti.go.jp/press/2016/04/20160428011/20160428011.html

・訂正:iPhoneの使用は3年想定!? アップルが回答

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160419-00011872-forbes-bus_all

 

 今月もちらほらとAI関連のニュースが見られました。レンブラントには驚かされました。インダストリー4.0もその後の動きが気になりますし、AI関連はほんとうに話題に事欠かないですね。昨年はIoTがそういうイメージで使われていました。

 それからUT Picksに見られる、キュレーションにも注目したいところです。

 このところ(少なくとも日本では)、「プロの仕事」みたいなものへの信認が揺らいでいるのを感じています。特にエンブレム問題なんかは自分の職業上非常にショッキングでした。。。キングコングの西野さんのデザインもそういった流れから出てきた時代の産物のようなものなんでしょうね。セレオリだって、クリエイションへの敬意を欠いていると思いますし、その隆盛は個人的にあまり好きではありません。

 

 

3月に気になったトレンドニュース

■3月
Googleは使わない、SEO対策しているから——Instagram有名人のGENKINGが語った10代の「リアル」(3/3)
・グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ(3.10)
スマホで撮影した植物が瞬時にわかる画像検索アプリ「PlanetNet」(3.12)
Google DeepMind チャレンジ 対局結果 - 李世ドル 対 アルファ碁(全五局)(3.9)
・いま、人工知能は「Google検索」を大きく変えようとしている(3.13)
土田晃之「平凡=真ん中にいることが幸せ」その持論が深すぎる!(3.13)
人工知能を使った小説、星新一賞の1次審査を通過(3.21)
・左派に熱狂する欧米のジェネレーションY:日本の若者に飛び火しない理由(3.2)
・「寺内容疑者の同級生」が大増殖中 ツイート信じた報道機関がおもちゃにされている(3.29)
 
 3月はAI関連の記事が目立ってます。マイクロソフトのAIが人種差別発言するなんていう記事もありましたね。あれからはユーザー層の関心やら程度がかいま見えるので、純粋な人工知能の話題ともちょっと違うのかな、と思って見てました。
 10代のSEO嫌いの話題は「情弱:情強」の軸でも切り取ってみて欲しいところです。ただ、世代が変わると本当に価値観すら変わってしまうから、世代としてもそうなのかもしれませんね。
 ananニュースはよく見てるんですが、坂上忍さんと土田晃之さん、有吉弘行さん、堀潤さんなんかがオピニオンリーダーとして出てきているのが興味深いですね。
 

2月に気になったトレンドニュース

■2月
・アメリカで苦戦するユニクロ、原因は返品条件の厳しさか?(2.1)
・専門家がワイン選びを電話でサポート「Amazon ソムリエ」開始(2.5)
・地ビール、米国で空前の売れ行き ざわつく大手メーカー(2.21)
・富裕層女性の消費のツボとは?キーワードは個対応(2.16)
・【アマゾンブックス】、覆面調査の評価は4.5!バーンズ&ノーブルより際立った長所は?(2.15)
・米アップル、FBIによるアイフォーンのロック解除要求を拒否
・【アマゾン】、オリジナルのアパレルブランド発売!スーツ・バイ・アマゾンを買います?(2.24)
・イオンが営業時間短縮 スーパー各社、早朝深夜見直し コンビニ競合・人手不足で(2.25)
・ランウェイで活躍の黒人モデル、引退の理由はキャスティングにおける白人至上主義?(2.28)
マツダがミニバン撤退 中堅各社、車種絞る(2.29)
 
 ここ何年か気になってたことだけど、リベラルな消費と保守的な消費の2系統に分かれてきている気がするんですね。これは速水健朗さんの『フード左翼とフード右翼』ですでに触れられているんだけれども。
 
そういう観点で分類してみるとこれらのニュースはこんな感じになるのかな……

リベラル:ユニクロ、地ビール、富裕層女性、アップルのFBI拒否、黒人モデル

保守:Amazonアパレル

 

 

 

ここ最近の複合商業施設の違いについて

 先週末に駆け足で注目の複合商業施設を見てきたので感想とかまとめとか。

 まるで「世間的にそう言われている」みたいな書きぶりになってしまいましたが、大部分が僕の独断と偏見です。

 

 今回行ったのは以下の2つ

ginza.tokyu-plaza.com

www.newoman.jp

 

 

 3月末にオープンした東急プラザ銀座とNEWoManがメインという感じですが、これにヒカリエと東急プラザ表参道原宿を追加して少しだけまとめます。

 

基本情報

東急プラザ表参道原宿

2012/04/8開業

東京都渋谷区神宮前4-30-3

 

渋谷ヒカリエ

2012/04/26開業

東京都渋谷区渋谷二丁目 21-1

 

・NEWoMan

2016/03/25(第一期)開業

2016/04/16(第二期)開業

新宿区新宿四丁目1番6号、渋谷区千駄ヶ谷五丁目24番55号

 

・東急プラザ銀座

2016/03/31開業

東京都中央区銀座5-2-1

 

感想

・概況

 こうしてみるとNEWoManだけ地名がついていないんですね。NEWoManといえば新宿だろ、と事前にわかるくらいPRされていたし新宿ルミネのイメージが強いし不要だということなんでしょうか?そんなことないか。NEWoManは取り立ててリベラルないイメージがあります。今調べてみて知りましたがNEWoManは住所が新宿と渋谷にまたがっているんですね。

 

・売り場について

 売り場については2012年オープンのヒカリエ・東急プラザ表参道原宿に比べると2016年オープンのNEWoMan・東急プラザ銀座は店と通路の境界がぼんやりとしています。ショッピングモールなんかだと「ここまでがこのテナントの場所」と言わんばかりに壁やらガラスやらで区切られていますが、2016年オープン組はそれをあまり感じさせないものになっています。

 これらを見て思い出したのはお台場のVenusFortです。VenusFortのよく考えてるところは、街の中でふらっと買ってしまうように動線の中に買い物が織り込まれているところなんですね。衝動買いを誘発するというか。

 特にNEWoManはVenusFortのように動線の中で「通りすがりに買う」という行為を誘う感じがしました。VenusFortがファミリー向けにちょっと生活感がある中で「通りすがりに買う」のならば、NEWoManは「リベラルな私がスマートにいいもの買う」というショッピング体験ができそうな、ちょっと背伸びさせてくれる空気感があるんですね。先ほど「リベラルな」と書きましたが、まさにリベラルな人たちが自然体で買い物できる感じでした。

 

・レイアウトについて

 かつて百貨店は「シャワー効果」と言われ、屋上に遊園地みたいなところにこども達が行きたがってひとまず屋上へ行き、そこからエスカレーターで地上に降りる過程でショッピングをするという動線設計がなされていました。しかしデパ地下が注目され始めてから「シャワーがあんまり噴かなくなっちゃったよ」という問題をどうやって解決するのかというのが大きなテーマでした。というか今も大部分の百貨店にとっては重大な問題です。

 ヒカリエはこの問題に「だったらタンクを屋上に持って行こう」という妙案を持って挑みました、そのタンクというのはオフィスなわけですが、DeNAやらKDDIやらヒカリエでお金を落とす会社員が山ほどいるわけです。こうした文脈から見るとNEWoManはヒカリエと同じような戦略を持っています。LINEとエプソンのオフィスが上にあるんですね。

 

 ここでユニークなのが東急プラザの2店舗です。

 どちらも似たような屋上庭園があるんですが表参道の一等地や銀座の一等地のビルの屋上で僕ら庶民がダラダラできるというのはありがたいもので、また行きたいと思わせる空間があるんですね。表参道原宿の場合はスタバやビルズがいて、銀座の場合は屋上にキリコテラスというテラスがあって、6Fにはキリコラウンジというラウンジがあると。どちらもそこにしかない空間を作っていて、しかも6Fと屋上で客層も別れるように狙ってるんだと思うんですよね。若者や銀座に普段来ない人は屋上に、銀座マダムは6Fに、というようにうまく客層も分かれています。

 

 他にも東急プラザ銀座にはインバウンド狙いの免税店が超でかく構えられていたよとか、バスタ新宿とNEWoManでいい具合に暇つぶせるんじゃないかとか、いろいろありますがひとまず雑感という感じで以上です。読み直すとまとまってないね! 

 

 

 

デザインって胡散臭いんじゃないか問題

 このブログを始めるきっかけを書いてみようかな、と思います。

 

 僕は2015年から都内の某メーカーで雇われデザイナーとして働いていて、4月から2年目になった新米社会人なんですが、ここ1年でデザインを巡るいろんな事件があったんですね……。

 例えば佐野研二郎さんの一連の事件とか

matome.naver.jp

 国立新競技場を巡るザハさんの事件とか

www.nikkei.com

 その後の隈さんとザハさんのいざこざとか

www.huffingtonpost.jp

 

 僕はどういうわけか高校生くらいからデザイナーに憧れてて、そういう大学に行って、運よく希望通りメーカーでデザイナーとして働いているんですが、そんな僕にとってはデザイナーは「凄い」くて「尊敬してる」人たちだったんですね。

 でもデザイナーになってみたら自分の思い描いていた「凄い」くて「尊敬される」デザイナーなんてのは日本社会にはほとんど存在していなくて、社内でも社会でも「変な人」だったり「見た目ばっかこだわって話のわからない人」といった具合にちょっと変わった人だと思われていたのがすごく意外でした。少し考えればそすぐにわかるんですが、デザイナーになりたいなりたいって高校生から思ってた僕にとってはすごく意外だったんです。

 ここでタイトルの「デザインって胡散臭いんじゃないか問題」につながるわけですが、当事者のデザイナーとしては「ちょっと古い体質があったりもするけれどそれほど胡散臭いことはない」と思っています。でもそれを語るだけの説明をデザイナーができていないというのは間違いありませんし、そこは反省しないといけないんですね。

 そんなことを考えていた折に(かなり前になってしまいましたが)深津貴之さんのこの記事を目にするわけです。

bylines.news.yahoo.co.jp

 これは当時僕の働く部署でもちょっと話に上がりましたが上司や同僚は「こんなこと言ってもしょうがないじゃん」的な空気だったのはよく覚えています。当然だからこそ、話題になる意味がわからないけど、でもデザイナー以外の人にとっては当然じゃなかった。だから話題になったんですね、きっと。

 

 こういったことを通して思ったのは、デザイナー同士で話してるときはわざわざ説明するまでもないようなことなのかもしれないけれど、それでも説明していかないといけないんだと思います。というか説明せざるをえないのかもしれません。

 一連の事件を見ている中で、あるいは仕事で他部署の人と折衝を重ねる中で「あ、デザイナーってアホだと思われてるな」っていうシーンが多くって、エンジニアや生産管理や営業と会議しても説き伏せられてしまうという、そんなことがままあります。でもそれじゃいけないし、デザインのためにもよくないんだと思うんです。デザインそのものには好みがあっていいと思うし、それに対してどうこう言うつもりはないのだけれど、デザインの意図を伝えるのは重要なことですよね。

 

 僕はやっぱりデザイナーは自分のデザインを説明して、みんなに理解してもらって一緒に頑張っていったほうがいいと思う。そのためにはバリッとしたレンダリング(かっちょいいデザインスケッチ)が描けたり、センスのあるカンプ(ラフな完成予想図)を作ることばかりじゃなく、筋道を立てて説明して納得してもらうということにもう少し頑張るべきだと思う、というのがこのブログを始めるきっかけでした。長くなっちゃいましたね。 

 

 とまぁそういった背景やきっかけがあったわけですが、基本的には定点観測的にデザイン周りのことなんかにコメントしたり、たまに大風呂敷広げて文脈付けたりしていきたいと思っていますので、よろしくお願い致します。